特許・商標・意匠等の産業財産権の申請等、著作権対策や営業秘密に関する話題等、広く知的財産権に関する記事を載せています。また、私が経営する特許商標事務所についてのピーアールも記載しています。
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23.10.2010
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地域団体商標その2
>> 知的財産権
        <特許・商標の館> 

 今日は。付記弁理士の山本 真一こと、クラシック音楽好きの「ヤマシン」です。大阪府にある高槻特許商標事務所の経営者弁理士であります。

 前回は、地域団体商標制度の導入の経緯や、地域団体商標出願を行う際に満足すべき法律要件や、新聞記事に記載された事例を紹介しました。

 重要な点は、当該制度が地域経済の活性化(地域おこし)に一役買うために、政策的観点から、あくまでも例外的に導入された制度であるということであります。

 そのために、要件としまして、「地域名+商品(役務)の名称等」から成る文字商標が指定商品又は指定役務との関係で「周知商標」でなければならないことが必要とされます。

 事業共同組合等が地域団体商標権を獲得するに際しては、幾つかの問題点があります。

 その一つが、上記「周知性」との関係であり、当該文字商標を需要者等に対して周知になるまで市場において浸透させた者は、一体誰なのか?ということであります。

 若し、周知性を獲得するまでに当該文字商標を用いて活発な営業活動を行った者が非組合員(outsider)であれば、その他の要件を満たしていても、出願は登録査定されません。即ち、出願に対しては拒絶査定が下されます。仮に誤って登録査定されても、その商標権に対しては、登録異議申立事由が成立しますし、登録無効事由にもなります。

 団体自体又はその組合員の活動によってのみ、出願に係る文字商標が需要者により広く識別されるようになっていなければならないのであります。この「周知性」の要件を満足させるための証拠資料の収集・提出は、簡単ではありません。

 そこで、最近の特許庁に於ける地域団体商標出願の審査では、「周知性」の要件の具備を審査する観点から、出願人に対して、組合員の名簿を提出するように、審査官から要求されるとのことであります。

 この様に、制度発足から数年が経過しておりますので、審査実務も固まってきており、特許庁も、その審査を厳密・慎重に行いだしているわけであります。

 次回は、出願の現状より、出願に際して、問題となるもう一つの点を記載する予定です。

以上

 特許、実用新案、商標、及び意匠の出願、審判、及び訴訟等や、著作権対策、営業秘密対策のことなら、高槻特許商標事務所の付記弁理士 山本 真一にご相談・ご用命を。

・ オフィシャルサイト: http://www.sy-pat.com/

・ サテライトサイト  : http://www.tokkyo-osaka.com/

 

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09.10.2010
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分割出願の客観的要件の重要性~特許権侵害訴訟の控訴審判決より改めての認識
>> 知的財産権
Hellow.  付記弁理士の山本 真一こと、元歌手の山口百恵さんと同年代の「ヤマシン」です。大阪府にある高槻特許商標事務所の経営者弁理士であります。

 今回の記事では、根岸先生と鈴木先生とが、数あるカップリング反応の中でそれぞれの先生が発明されたクロスカップリング反応が評価されて、2010年度のノーベル化学賞を受賞されたことを祝して、特許関係の民事訴訟事件から再認識すべき点について触れたいと、思います。

 尚、両先生は、共に、自己のクロスカップリング反応について特許申請されなかったとの事です。大学の先生が自己の発明から対価を得て金儲けをするなんぞは、けしからんと言われる雰囲気があった時代だったそうです。そのために、後進の研究者等は、先生方の発明に係るクロスカップリング反応を自由に実施してそれを広く応用することが出来たのです。そのために、医薬品や電子部材等の分野で実用化の開発が活発に成され、多くの特許権や研究論文が生まれたとのことです。自己の発明を第三者に対してオープンにされたこと自体は、当時の状況を考えると、大学の先生らいし考え方であります。でも昨今では、素晴らしい大学教員の研究成果については、必ず大学のTLO機関が、特許権を取得して当該特許権のライセンスから得られる収入を、大学の研究費用等に振り分ける時代でありますので、「誰でも自由に使ってもいい」なんて、そんな悠長な事は言ってられない時代でありますが。

 今回の記事で取り上げる特許権侵害による損害賠償請求事件では、

 分割出願に係る特許権を保有する原告(控訴人)(不二製油株式会社)が、被告(被控訴人)(花王株式会社)の食用油の製造方法が原告の上記特許権を侵害するとして、第1審では約5億6千万円等の損害賠償額を請求し、第2審では損害賠償額を約3億円に減価して損害賠償を請求しました。が、原告の特許権がその元となる分割出願に瑕疵があったことが事実認定された結果、判決理由中で原告の特許権は無効であると宣言された結果、第1審の大阪地裁及び控訴審の知財高裁の何れにおいても、原告(控訴人)は全面的に敗訴したのであります。

 原告(控訴人)の敗訴理由の最大のポイントは、分割出願がその客観的要件を満たしていなかった点にあり、その結果、分割出願の効果である、親出願の出願日への遡及効果が認められなかった点にあります。

 その結果、原告(控訴人)の分割出願の出願日は現実に分割出願を提出した日に繰り下がってしまい、既に公開済みの原告(控訴人)自身の原出願の発明に対して進歩性を有さないから権利行使は出来ない(特許法第104条の3)との被告(被控訴人)側からの抗弁事実の主張が、知財高裁第4部の裁判所によって認められてしまいました。

 ここで、特許出願の分割出願の法律要件及び法律効果は、特許法第44条第1項~第6項に規定されております。同条第1項の規定より、「分割出願」とは、二以上の発明を包含する原特許出願(実務では親出願とも言います。)の明細書及び図面の書類に記載されている2以上の発明の一部を親出願から分離した上で、分離した発明について1又は2以上の新たな特許出願をすることを、いいます。

 分割出願は、

 1)原出願が特許法第37条に規定する「発明の単一性」が認められないとの審査結果を受けた際に、当該拒絶理由を解消するために行なわれますし、

 2)審査結果が、一部の請求項に係る発明が拒絶されていないことを示している場合に、拒絶対象の請求項に記載の発明についてはその後の拒絶査定不服審判で争うこととして原出願を係属させる一方で、拒絶対象外の上記一部の請求項記載の発明については、それらの早期の権利化をめざして、これらの発明を分割するために行なわれます。

 更には、3)原出願の明細書及び図面には記載されてはいた発明であるが、原出願の特許請求の範囲の書類中には請求項に係る発明として当該発明の権利化が図られていなかった場合に、改めて当該発明の権利化を求めて分割出願を行なう場合があります。

 更には、4)私自身が実務上たまに行なうテクニックですが、原出願の明細書及び図面には記載されていた発明が、原出願の特許請求の範囲の書類中には、その権利範囲が限定される態様で狭く記載されていたのを受けて、あくまでも下記の客観的要件を満たす範囲内で、上記の限定事項が無い、より広い範囲の構成要件で以って請求項に係る発明を記載して、その様に広く記載される様になった発明を分割出願する場合があります。これは、同時に出願された2以上の同一発明が、一方の出願では他方の出願よりも発明が広く記載されている関係にある場合でも、その逆の関係との公平性の観点から、二重特許禁止の原理の例外として、特許されるとの審査基準の記載を利用した出願戦略であります。

 そこで、分割出願の法律要件を考察してみることにします。

 先ず、主体的要件は、原出願の出願人と分割出願の出願人とが同一であることです。又、時期的要件は、原出願の補正と同時に又は補正期間内に、或いは、所定の期間内に、分割出願を提出することであります。これらの要件は特許法第44条の規定に直載に記載されているため、これらの要件を満たしているか否かの判断を弁理士が誤ることは、考えられません。

 ところが、分割出願の客観的要件は、同条には何等記載されていないのであります。ここで、「客観的要件」とは、分割出願の特許請求の範囲の書類に請求項として記載された発明が、原出願の出願当初の明細書・図面等の書類中に記載されていることであり、「出願日の遡及効」という分割出願の法律効果の観点から逆説的に導かれる重要な要件であります。斯かる客観的要件は、特許出願の補正の要件及び効果との観点・対比から、学説上及び実務上、当然に認められてしかるべき要件であると、解釈されております。

 とは言え、条文上には直載に記載されていない要件であるために、分割出願の書類の作成時に、この要件のチェックが忘れられてしまいがちであり、そのために、原出願の当初の記載範囲を越えて、分割出願用の明細書が記載されてしまうと共に、特許請求の範囲に記載の発明の構成要件も広範囲に拡大記載されてしまうという誤りをおこしてしまいがちであります。

 本控訴の訴訟事件では、原告(控訴人)は、原出願の公開後に、原出願の審査過程におきまして、A発明とB発明とを包含する、より広い範囲の請求項1を作成し、それに併せて原出願の明細書も追加記載した上で、本件特許権の元となる分割出願を行ないました。その内、A発明は明らかに原出願の明細書に開示されていたものですが、B発明は、原出願の明細書には直載には開示されてはいなかったものであり、原出願の明細書中に記載された技術用語をどの様に解釈するかによって、その当否が問題と成り得るものでありました。

知財高裁第4部の裁判所は、

 1)先ず、被告(被控訴人)が実施している製造方法は、原告(控訴人)の本件特許権の技術的範囲に属するとの事実認定をした上で、

 2)次に、本件特許権の元となる分割出願の適法性について検討し、その結果、分割出願の特許請求の範囲の欄に記載された請求項1に係る発明に包含される発明Bは、原出願の当初の明細書等には記載されてはいなかったと判断し得る新規な事項に該当すると事実認定し、j発明Bをも包含する記載形式の請求項1に係る発明の権利化を図る分割出願は、客観的要件を満足していない不適法な出願であったと認定しました。

 3)その上で、裁判所は、分割出願の出願日が現実に本件分割出願を提出した日となるので、本件分割出願に係る本件特許権は、その日までに既に公開されている原出願の明細書等の記載に係る発明より容易に想到されるものであって無効であると認定して、原告(控訴人)の全請求を棄却しました。 

 以上の通り、本事件の判決に鑑みて、分割出願を行なう場合には、くれぐれも、条文には記載されてはいないが、解釈上認められている上記の客観的要件を満足する様に、最大限の注意を払って、分割出願の書類を戦略的に作成することが必要である点が、再認識されました。この要件を満たす適法な分割出願を行な得る様に尽力を尽くすことが、弁理士の腕前の発揮の場であると、言えましょう。

 次回では、地域団体商標か、或いは、未完成発明の話題について、記載する予定です。

以上





   
03.10.2010
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商標登録無効審判の有効審決の取消訴訟「iモード」事件より見る商標の本質
>> 知的財産権
 今日は。 付記弁理士の山本 真一こと、大阪府にある高槻特許商標事務所の経営者弁理士である「ヤマシン」です。

 今回の記事は、話題を変えて、商標権の有効・無効を争う審決取消訴訟事件の、「iモード」事件を扱います。

 今回扱う事件は、目立たない、当事者系の審決取消訴訟事件の一つでありますが、事件の内容は、けったいな(標準語で言えば、ふしぎな、又は、おかしな、という風ですか。)内容です。だけれども、事件の争点から見て、商標権の本質が垣間見られます。

 尚、「当事者系の審決取消訴訟」とは、特許庁の審判官の合議体が、審判請求人からの請求を受けて、特許庁長官が付与した権利(特許権、意匠権、又は商標権)の有効・無効を準司法手続きに則り審理した上で下した審決の結論に不満を有する審判請求人又は審判被請求人の一方が、他方を被告として、知的財産高等裁判所に於いて、当該審決の違法を主張して、当該審決の取消の判決を求める訴訟であります。以上の定義から判る通り、審決を下した張本人である特許庁の審判官の合議体は、訴訟の蚊帳の外であります。原告及び被告が、審判官を外した上で、裁判所に於いて、審判官の合議体が書いた審決書の文言を争うのです。その意味では、本件訴訟は、けったいな行政訴訟でありますが、あくまでも、行政事件の抗告訴訟事件の一種であるとされており、行政訴訟の一種である「当事者訴訟」とは異なるとされております。

 さて、話を本筋に戻しまして、本事件では、原告が個人発明家Xである一方、被告Yは、大企業であります、あの(株)NTTドコモであり、問題となった登録商標があの有名な「iモード」であることから、本事件は「iモード」事件と言えましょうか。

 原告Xは、発明の名称を「数字キーのみを用いて総ての文字・記号を入力することが可能な入力装置とそれを用いたフィルム描写装置」とする日本国特許権及び米国特許権を有する発明家であります。

 そして、原告(審判請求人)Xは、被告(審判被請求人)のNTTドコモが販売する携帯電話機の一機種の機能が原告Xの斯かる特許権を侵害すると主張した上で、

 その様な原告Xの特許権を侵害する携帯電話機の販売を通じて携帯無線電話サービスを提供する被告Yが当該サービスに於いて使用している役務商標権の登録商標「iモード」が公序良俗に反するので、「iモード」の標準文字からなる被告Yの商標権が無効であることを主張して商標登録無効審判を請求しました。

 ところが、特許庁の審判官の合議体は、商標法第4条第1項第7号に規定する「公序良俗を害するおそれがある商標」とは、その構成自体が反社会的で許容できないものの場合であるとの通説的見解に依拠した上で、「iモード」の標準文字からなる本件商標権の構成は公序良俗違反の構成とは言えないと判断して、特許庁長官の名で以って、当該商標権は有効である旨の審決を下しました。

 そこで、原告Xは、これを不服として、(株)NTTドコモを被告Yとする、特許庁の当該審決の取消を求める審決取消訴訟を、代理人をつけることなくX自身自ら訴訟手続きを遂行することで、提起しました。ここで、原告が、登録商標「iモード」が商標法第4条第1項第7号の「公序良俗違反の商標」であると主張する根拠となる規定が、商標法第29条の規定であります。

 ここで、商標法第29条は、商標権と、その出願日前に出願された特許権等の産業財産権やその出願日前に創作されて発生した著作権とが抵触する場合の調整規定であります。

 よくぞや、こんな規定を原告Xが見つけ出してきたなあとは、感心する次第であります。

 と言うのは、商標を実務上専門とする弁理士は当然に覚えて知っている重要な規定でありますが(しばしば実務上問題となるのは、商標権と著作権との抵触の場合であります。)、商標を実務上専門業務としない、例えば特許のみ専門の弁理士にとっては、当該規定を忘れてしまっていると言うのが通常ではないかと思われるからであります。

 さて、商標法第29条は、商標権がその指定商品等についての使用の態様により他人の先の知的財産権と抵触する場合には、あくまでも、商標権が有効であることを前提として、指定商品等の内で抵触する部分についてその使用態様により当該登録商標を使用することが出来ないと規定することで、権利間の調整を図った規定であります。つまり、本条は、当該商標権は有効であるけれども、当該抵触部分の範囲内では当該登録商標を使用することが出来ないですよと、規定するにすぎません。

 従って、仮に、本件の登録商標「iモード」の使用が原告Xの特許権に抵触することがあっても、その使用が限定されるだけにすぎず、商標権自体は有効でありますから、そのこと事体は、本件の登録商標「iモード」の構成が「公序良俗違反」に該当することとは何等結び付かないのであります。

 ここで、商標法第29条が想定している「商標権と特許権との抵触」とは、次の場合に限定されるでありましょう。

 即ち、当該商標権が、その登録商標を構成する標章が「立体的形状」から成る場合(商標法第2条第1項柱書き)である「立体商標権」であり、他方の特許権が物の形状にその技術的特徴を有する場合であります。この様な場合には、当該立体商標権をその指定商品等について使用する場合に、その態様如何によっては、当該特許権を実施することとなってしまい、特許権との抵触が生じ得ます。

 従いまして、登録商標を成す標章が文字や図形や記号やそれらの組み合わせから成る「2次元的」な構成を有する場合には、その様な標章を有する商標権が、当該指定商品等についての使用に於いて、特許権と抵触することは、あり得ないのであります。

 そうすると、原告Xの特許権はいわゆる電気系の発明に関する特許権でありますから、仮に、被告Yが販売する携帯電話機の機能が原告Xの特許権を侵害するものであるとしましても、携帯電話機による無線電話通信の提供に関する指定役務に関して、被告Yが、「2次元的」な構成を有する登録商標「iモード」を、例えばパンフレットやちらし広告等について使用しても、その使用は、原告Xの特許発明を実施するものでは何等ないのであります。

 改めて認識すべき点は、商標とは、ある業務を営む者が競合他社の業務と自己の業務とを識別するために用いる標識にすぎないのであり、その保護目的は市場に於ける公平な競争秩序を保つことにあり、当該業務の提供に関連する商品の機能を保障することではないのであります。

 本件訴訟に於いて、裁判所は、次の通りに判示して、原告Xの全ての主張を退ける請求棄却の判決を下し、当該判決は確定しました。即ち、

 商標が商標法第4条第1項第7号に該当するかどうかは、当該商標の構成等に基づいて判断すべきであり、指定商品又は指定役務に係る製造、販売等の態様が他人の知的財産権等を侵害するかによって判断すべき根拠はない。

 商標法第29条は、・・・、当該商標登録を有効なものとした上で、当該商標の使用を制限することによって、他の知的財産権等との調整を図った規定である。以上の・・・趣旨に照らすならば、商標法第29条に該当する行為がある場合には、当然に商標法第4条第1項第7号に該当するとする原告の主張は、その主張自体失当である。

 本判決の結論及びその理由付けは、全くもって妥当であると、言うべきでありましょう。

本事件を振り返って、改めて、商標とは何か?を考えさせられる事件でありました。

 尚、不思議に思えるのは、何故に、原告は、被告の登録商標「iモード」の無効を主張したのでしょうか? 無効による結果、被告が標章「iモード」の使用が出来なくなっても、原告には、それによって得られる経済的利益がないのであります。その意味では、そもそも、原告には、無効審判を請求するに足りる請求適格が無かったのではないかと思われ、その点を以って、審判合議体は原告Xの審判請求を却下しても良かったのではないか、寧ろ、その方が筋が通っているとも思えます。

 被告Yが販売する携帯電話機の機能が原告Xの特許権を侵害すると主張するならば、寧ろ、原告Xは、特許権侵害の民事訴訟事件を提訴するのが筋ではなかったかと、思われるのであります。

 それらの意味を考慮すると、本件事件は、けったいな事件であると、思えます。

以上



26.09.2010
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弁理士及び付記弁理士とは何ぞや?その2
>> 知的財産権
 今日は。 付記弁理士の山本 真一こと、若し生存していたならば故マイケル・ジャクソンと同じ年の「ヤマシン」です。大阪府にある高槻特許商標事務所の経営者弁理士であります。

 今回の記事は、弁理士の業務の紹介の第1段です。

 最近では、中小企業等のグローバルな企業活動を強力に支援するという観点及びその需要とのバランスを越える様な弁理士の昨今の大幅な増員への対応からその業務範囲の拡大化を求めるという観点から、従来の業務が出来ることに留まらず、クライアントに対して知財戦略的経営コンサルティングのサービスを提供出来る弁理士が求められております。勿論、如何なる弁理士として活躍するかという弁理士像は、個々の弁理士にとって、様々でありえましょう。

 私自身は、特許、商標、著作権対策、及び不正競争防止法上の営業秘密対策を、業務の4本柱として、知的財産権制度の枠内でクライアントが抱える課題を解決していく課題解決型の弁理士であることを、希求しております。勿論、意匠や実用新案の業務も行ないますが。その様な知的財産権制度の枠内でのコンサルティングの実践を通じて、特許や商標等の出願・中間事件等の従来型の業務をも顧客に提供していく弁理士を目指して活動しております。

 先ず、弁理士法に規定された弁理士の業務には、大別して、1)専権業務(弁理士と弁護士とのみが出来る代理業務です。)と、2)標榜業務(弁理士であることを名乗って出来る代理業務です。)とがあります。

 これらの内で、従来より弁理士が行って来た業務の中核は、何といっても、上記の専権業務に属する、日本国特許庁への出願業務の代理、並びに、東京高等裁判所(現在の知的財産高等裁判所に該当。)及び最高裁判所への審決等取消訴訟の代理でありましょう。

 そして、弁理士が行う出願業務の内で、数に関して一番多いものは、特許出願業務であります。その次が商標登録出願業務であり、こちらの業務も特許出願業務と対極を成す重要な業務と言えましょう。その次に、意匠登録出願業務が位置しており、その次が、今では法改正による無審査制の採用によりその権利としての価値・魅力がすっかり落ちてしまった実用新案登録出願業務であります。

 特許出願業務に関しては、個々の弁理士にも、得意とする技術分野があります。大別すると、電気系、機械系、及び、化学系に分けられます。

 私自身はと言えば、1)大学・大学院で応用物理学を専攻する工学部・工学研究科の学生として物理学・電子工学等の分野を学び、2)卒業後に就職した富士通株式会社の川崎工場に於きまして、通信分野のデバイスの研究・開発・設計を任務とする電気技術者として7年間活躍しましたので、私の弁理士としての専門の技術分野は、電気系及び機械系であると、言えましょうか。

 実際のところ、私自身は、平成3年の弁理士登録後、電気・電子・情報・制御・電気材料・機械&構造・メカトロ・光物理・ソフトウェア・IT・日用品等の広き技術範囲に亘って、内外国の特許庁に対する特許業務を行なってきました。従って、特許業務に関しては、弁理士 山本 真一は、電気系及び機械系の実務経験を有する弁理士と言えるでありましょう。他面、私は、無機化学や有機化学等の純粋な化学・薬学分野、及び、最近では流行りで高収入が期待されるバイオ分野・医学分野に対しては、実務経験は無く、専門外であります。

 従いまして、弁理士に発明の特許出願の代理を依頼されるときには、その弁理士の専門技術分野が何かを、及び、その実務経験年数はどれぐらいかを、先ずもって確認する必要性があります。

 弁理士が拘わる特許出願業務の内容を概要すれば、次の通りとなります。

 1) 先ず、発明の把握&発掘・明細書や特許請求の範囲等の書類の作成を経た上での特許庁へのインターネット出願が、最初の大変重要な業務となります。

 この段階は、例えれば契約書の作成段階と同じで、その後の手続きの流れを決定し得る程の重要な段階であり、弁理士がその専門能力を発揮出来る最初の段階であり、且つ、弁理士の明細書等の作成能力が問われる段階であります。しかも、日本国の特許法は先願主義(早く出願した者の勝ち)を採用しておりますので、如何に早期に特許出願の書類を作成して出願を行なうことが出来るかが、ポイントとなります。ですから、この段階での先行文献の調査の精度は荒くならざるを得ない面があります。

 2) それに引き続く重要な段階は、出願日から数えて3年の期間内に、出願した発明の権利化を図るために審査請求を特許庁に対して行うか否かの判断段階であります。

 特許庁に支払う出願費用は、現時点では、その出願に含まれる請求項の数に関係なく、1万5千円の固定費用でありますが、審査請求に要する審査費用は、請求項の数に依存し、しかも、出願費用に比べて格段に高額となります。従いまして、高額な費用を支払ってまでも、特許出願に係る発明の権利化を図るべきかの判断を、即ち、特許出願に係る発明が、その時点で把握している先行技術文献に対して特許性を具備しているか否かの判断を、この段階で行う必要性があります。この特許性の判断は、その弁理士の中間事件での実務経験の豊富さが問われる段階であります。幸い、中小企業の発明や個人の発明に対しては、その予算の枠内限りではありますが、出願に係る発明の特許性の有無に関連する先行文献の存在の調査を、特許庁がその調査に要する費用を支払った上で、特許庁が指定する調査機関が行なってくれる制度が、特許庁の行政サービスとして存在しております。この制度を利用しない訳はなく、この制度の利用により、関連する先行文献の存在の有無の情報を得て、先行文献が存在する場合には、それと出願に係る発明との特許性に関する対比判断を行なえば、審査請求をすべきか否かの判断を低コストで行うことが出来ます。

 審査請求を行なうべしと判断した場合には、出来れば、調査で分かった先行文献の存在情報と、それとj本願発明との対比説明とを早期審査事情説明書に記載して、早期審査を申し出ることが、得策であります。この早期審査制度もまた、特許庁が中小企業の発明や個人の発明等に対して提供する行政サービスの一貫であり、早期審査の申出が認められるならば、通常ならば、審査請求後、少なくとも1年半は待たなければならない特許庁の審査官の審査結果が、早期審査の申出後の2~3か月程の後に、得られることとなり、早期の権利化を図ることが出来ます。

 3) 次の段階は、審査請求をした後の、特許庁の審査官との間での特許性の有無をめぐる議論の段階、いわゆる中間事件の段階です。

 審査官が出願に係るj発明に特許性があるとの判断に至って特許査定という行政処分を下してくれれば、その後は設定登録料を支払う業務に移行するだけであり、何らの問題は生じません。

 しかしながら、審査官が、出願に係る発明に拒絶理由があると判断して、特許庁より、拒絶理由が記載された拒絶理由通知書が送付される場合にば、審査官と、代理人である弁理士との間で、拒絶理由の妥当性を巡って、攻防が始まります。この拒絶理由通知書に対しては、行政手続法にも反論の機会が保障されている通り、その特別法であります特許法の規定に基づいて、本出願人は、意見書を審査官に提出することが出来、また、必要に応じて、意見書の提出期間内に特許庁長官に対して補正書を提出することが出来ます。この段階では、反論の成功の可否は、中間事件に対する弁理士の実務経験歴が大きくものをいいます。若し、拒絶理由の根拠として、本願よりも先行する技術文献が引用文献として提示されている場合には、当該引用文献に記載されている発明ないしは考案(従来技術)の内容の正確な把握が、弁理士の能力として先ず求められます。

 ア) 若し拒絶理由に合理性があると弁理士が判断して、この弁理士の意見を出願人が受け入れるならば、特許庁に対して応答する必要性はなく、その後には、本出願に対して特許庁長官の名で拒絶査定が行政処分として下され、当該拒絶査定の確定を待って当該手続きが終了します。 

 イ) 他方、本件拒絶理由通知書に提示された拒絶の論理付けに対して合理性が認められないと、弁理士がその能力を発揮して判断し、その見解を本出願人も自認する場合には、弁理士は、出願人を代理して、意見書を提出すると共に、必要に応じて請求項の記載や明細書の記載を変更する補正書を提出することとなります。この段階での請求項や明細書等の補正は、出願時に於ける本願の明細書や図面に於ける開示範囲を超えることが出来ませんので、その意味で、出願段階での明細書等の書類の作成能力が、弁理士に問われることとなります。意見書に於いて如何に説得的に反論を展開出来るか、或いは、補正書に於いて、如何に請求項等を補正して当該拒絶理由を克服出来るかという、この場面は、正に弁理士の能力の発揮場面であります。

 ウ) 弁理士による反論が功を奏する場合には、本件拒絶理由は撤回されることとなります。更に審査が成されて、新たな拒絶理由があると審査官が判断した場合には、更に拒絶理由通知書が送付されて、同様の手続きが展開されることとなります。新たな拒絶理由が無いと審査官が判断した場合には、本願は特許査定されることとなります。

 エ) 弁理士による反論が功を奏さず、拒絶理由が審査官により維持される場合には、特許庁長官の名で以って、本願に対して拒絶査定の行政処分が下されます。この段階では、弁理士が、拒絶査定書に記載された理由を検討することとなります。この段階での判断に於いても、弁理士の中間事件に対する実務経験が求められることとなります。

 若し、拒絶査定書に記載された理由に理が無いと弁理士が判断し、その見解を出願人が受け入れるならば、特許庁内の上級庁である審判部に対して、拒絶査定不服審判を請求することとなります。

 以上までの記載が、特許出願に於ける書類の作成・提出から本願に対する審査部門による審査結果までの手続きの概要であります。

 これらの手続きに対して如何に弁理士が拘わるか、そして、各段階に於いて弁理士が果たす役割の重要性が、ご理解していただけましたでしょうか。

 今回の記載は、審査段階までの紹介として、終了致します。

 次回に於いては、審判段階に於いて果たす弁理士の役割について触れたいと、考えます。

 以上
15.09.2010
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弁理士及び付記弁理士とは何ぞや?
>> 知的財産権
 今日は。付記弁理士の山本 真一こと、「ヤマシン」です。大阪府にある高槻特許商標事務所の経営者である弁理士であります。

 私の職業は通称「付記弁理士」ですが、「付記弁理士」と言う国家資格を取得する前提として、「弁理士」という国家資格が必要ですので、先ずは、「弁理士」という国家資格乃至は職業について、今回及び次回に亘って、触れてみたいと、思います。

 語学能力・法律及び技術の知識を駆使してグローバルに活躍したいと望む人にとっては、「弁理士」と言う国家資格は魅力的な国家資格の一つではないでしょうか。

 私が弁理士試験に合格したのは平成3年であり(合格率は3.0%でした。当時は東京と大阪の2会場のみが試験場であり、大阪会場の方では合格率は実質1%程度と言われていた時代です。)、同年の11月に弁理士登録してから、今年の11月には、はや弁理士登録20年目に突入します。私が弁理士になった時代は所謂バブル経済が崩壊した直後でしたが、その時代においては、「弁理士」は、社会的には認知度が低い国家資格でありました。

 現在では、政府の「知財立国戦略」という政策の推進を受けて知的財産権の重要性がグローバルな意味で経済的・社会的に理解されることとなり、又、弁理士試験専門の受験雑誌や書籍が本屋に多く並んでおりますので、「弁理士」と言う国家資格の認知度はかなり高くなっているものと、思われます。

 小泉内閣による「知財立国戦略」の下での大幅な規制緩和の推進により、弁理士法は全面改正され、弁理士制度はその後は大きく変わりました。弁理士法により規定された弁理士の業務範囲が現実の業務の実態に合う様に広がる一方で、弁理士試験の難易度は以前よりも低くなり、試験内容も大幅に易しくなり、現在では、私の時代と比較すると、格段に弁理士に合格し易くなっております。その為に、弁理士の大幅増員とそれに伴う種々の問題点とが、弁理士の世界では、不況と重なって、現在深刻化しております。

 さて、「弁理士」という職業を一言で言えば、「知的財産権の専門家」であると言えましょう。弁理士の多くは、理系出身者であり、又、内外国の特許・商標・意匠等の業務を行っている弁理士が多いことを踏まえますと、「弁理士」という職業は、技術・法律・語学(主として英語。最近では中国語に秀でた人もいます。)に通じた知的財産権のプロである士業と、一般的に言えます。ここでの知的財産権とは、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、及び、商標権)、最広義の著作権、及び商号権等を言います。これらの権利の内で、特許庁の設定登録により発生する権利が産業財産権であり、産業財産権の取得に、弁理士は専権業務として深く関与しております。

 弁理士の実際の業務の詳細な紹介については、次回にでもお話したいと思いますが、弁理士の仕事は、あくまでも、企業(大企業、中堅企業、中小・ベンチャー企業、個人事業主)を顧客として、その企業との間で、代理人等として、無体財産である知的財産の発掘・保護・活用・権利行使に関する仕事を行います。従いまして、有体物である不動産関係の争いや、交通事故や公害事件等での損害賠償の争いや、相続・遺産分割での争いや、離婚・財産分与での争いや、債権取立ての事件の様に、ドロドロとした人間関係が付きまとう争いに深く関与することとなる弁護士の一般的な民事・家事業務とは異なり、弁理士の業務は、比喩的な表現ですが、比較的あっさりとした綺麗な業務であると言えます。とにかく、弁理士の仕事は、法律・技術の知識と語学の能力とが求められるケースが多い仕事であると、言えます。その意味では、語学に興味を有し、コツコツと真面目に法律や技術の勉強をして研削を積みながら一つ一つの仕事をコマ目にこなしていける人が、弁理士に向いている人と言えましょう。弁理士という資格は、特に、語学に強くて真面目に一生懸命に仕事に打ち込む女性に向いている資格と言えます。女性弁理士の数も、増加の一途を辿っています。

 弁理士の特権についても、今回の最後の話として触れておきましょう。弁理士は、

1) 無試験で「行政書士」になることができます、
2) 民事事件・刑事事件の証人尋問に証人として出廷した場合において、業務上知り得た黙秘義務のある事項に関しては、弁護士と同様に、証言拒否権を有しております、
3) 弁護士と同様に、刑事訴訟事件における裁判員になることができません、
4) 米国のカリフォルニア州では、日本国弁理士は、日本国弁護士と同様に扱われ、ロースクールで学ぶことなく、BAR EXAMINATION(法曹試験)を受けることができます、
等々というものです。

 今回は、これで終わります。 次回は、弁理士の仕事を詳細に述べるつもりです。

以上



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